静かにさようなら~弁天湯@下京区(京都)※2018.12.29閉店
こんばんわー。ユウキです。
今回は去年の年末、ひっそりと幕を閉じた銭湯へ行った日記です。
銭湯業界では何っっ年も前からずっと言われていることですが、銭湯は加速度的に減少しています。京都市内でも、去年だけでも4件は閉店している。多分知らないだけでもっとあるはず。
去年は例年にも増して年末感が無く、僕は年末年始も仕事をしていた。その時間の合間に今回の銭湯に向かっていた。
清水五条駅から歩いて5分ぐらい。高瀬川のそばを歩いているとポツンと見えるたたずまい。
弁天湯さん。この銭湯、12月の頭頃だったか、少しの間休業されていました。その間に何があったのかはわかりません。ですが、復活してすぐに張り紙がドアに張られていたそうです。「12月29日で閉店します」と。
「ご愛浴頂く」という言葉が本当にあるのか。自分が調べた範囲では見つからなかった。店主さんの気持ちがにじんでくる言葉だと思う。
当たり前にあるものも、気付けば無くなってしまう。僕の地元にも昔は3軒ほど銭湯があって自転車で通える距離にありました。小学生の頃はたまに友達を連れて銭湯に行っていました。今でも覚えているのは左側にお風呂があって、水風呂が一番手前にあった事。刺青が背中にびっしり入ったおじさんと水風呂に入って話していた記憶がずっと残っていました。ですがその銭湯も気付けば更地に。インターネットの無かった時代。資料もほぼ残っていなかった。ですが必死でネットの海を漂っていると、フィルム写真の浴室の画像が残っていた。やっぱり!水風呂は左の手前にあった。こういうどーでもいい記憶っていうのはどうしていつまでも残っているんだろう。
毎度雑で申し訳ないですが、弁天湯の浴室の図。これも、いつかの誰かのためになるのかもしれない。
壁のタイルは、割と良くある白いタイル。
でも全体的にどこか優しい雰囲気がある。体を流し、胸の高さくらいまである深風呂に入っていて気付いた。浴室全体に角が少ないんだ。薬湯の入口がアーチだった。女湯との境目の壁もよくみると滑らかにカーブを描いていた。
電気風呂はビリビリと電気がくるパネルが、入り口に対して何故か前後に付いていた。足を入れるとふくらはぎからビリビリと不意打ちをついてくるトラップのような電気風呂だった。
番台でパンツを履いていると、常連のおじさんが「これ、お土産です。今までお疲れ様でした」と何かプレゼントを女将さんに渡されていた。
このまま来年も営業してるんじゃないかな?ってくらい銭湯全体の空気が変わっていなかった。あぁ、こうやって静かに、ひっそりと僕の大切だった場所も無くなっていったのかなぁ、と玄関を出てから思っていた。
昔、中島らもの本の中で見つけた言葉で、『世界は終わる、ドーンと音を立てずに、しんみりと』と言うような言葉があった。言葉の言い回しなどは忘れてしまったけれど、その言葉の輪郭とイメージだけが凄く頭に残っていた。
まさに今、のれんを下ろす銭湯の最後は、その言葉のイメージとピッタリ合っていた。お疲れ様でした。
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No3
弁天湯(〒600-8118 京都府京都市下京区南京極町52 西木屋町通五条下る)
15時半~25時、水曜・日曜定休日
料金430円 貸タオル10円 ミニシャンプー類30円程度
バイク置き場ありました。